前回の高倉寺から泉ヶ丘駅の方にもどり、泉北一号線沿いを栂・美木多方向に歩きます。豊田南の信号を左に曲がって「片蔵」のバス停をこえて左に曲がると桜井神社です。
いつこの神社がつくられたかははっきりしませんが、地元の桜井朝臣一族がその祖先である竹内宿彌命をおまつりしたことにはじまるとされています。そして、推古五(597)年に八幡宮をいっしょにされ上神谷の総氏神となって、応神天皇、仲哀天皇、神功皇后をおまつりするようになりました。
この神社が堺市にとって大きなことは、ただ一つの国宝の建物があることです。それは拝殿といわれるもので、この神社におまつりしている神様を拝む建物のことです。写真がそれです。初もうでなどで、どこの神社に行っても拝む場所は拝殿なんですが、ここの拝殿は真ん中があいています。割り拝殿という様式のもので、鎌倉時代(1192~1333年)の前半に建てられたものだと考えられています。真ん中のあいているところは「馬道」という土間(土をかためたところ)の通りぬけになっています。どっしりとした屋根をかえる股という木で受け、それを大きな梁で支えて四本の柱に置かれている形式の建築です。
また、この神社には、鉢ヶ峯の国神社にまつられていた石灯ろうと神像が保存されています。
この神社では、毎年10月の第1日曜日に奉納される「こおどり」が行われています。これは国選択・大阪府無形文化財になっている雨ごいのおどりです。ヒメコとよばれる魔よけの紙の花をさして竹かごをせおった2人の鬼や、ぼうを持った2人の天狗たちなど、17人の踊り手たちが、道歌を歌いながら桜井神社に奉納にやってくるのです。