JR阪和線「浅香」駅をおりて西へ向かうと、かつてあった浅香山浄水場の跡地に出ます。浄水場というのは、よごれた川の水を飲めるようなきれいな水にするための施設で、明治43年(1910)に堺市内ではじめてこの浅香山につくられたのです。ここから堺市内にきれいな水を送りはじめたのが、全国でも18番目だったようです。
この浅香山浄水場の沈でん池の堤防に、昭和12年(1937)にヒラドツツジが植えられました。沈でん池の堤防を強くして守るためと、緑化のためでした。毎年、4月末から5月のはじめにかけて、りっぱに育ったツツジがきれいに咲きほこりました。写真のように、とてもきれいだったので、昭和31年(1956)から、ゴールデンウィーク前後に浄水場内を一般公開して、人々が楽しめるように、六百メートルにわたってツツジの通りぬけを始めました。
もともとは、大和川の水を飲めるようにきれいにする施設でした。しかし、市内の人口が増えるとともに水を使うことも増えてきたために、大正13年(1924)には大阪市から水をわけてもらうことを始めました。それでも追いつかず、昭和26年(1951)には大阪府営水道から沈でん水を、昭和30年から浄水をわけてもらってきました。
さらに悪いことに、大和川ぞいの地域では住宅や工場が建ちだして、よごれた水をそのまま川に流すようになり、大和川の水がとてもよごれ出し、わが国でも一番きたない川になってしまいました。そこで、大和川から水をくむのをやめて大阪市と大阪府からの水にたよることになりました。それにともなって、浅香山浄水場はいらなくなって地下の配水施設だけになりました。
地上の施設はなくなり、平成24年度から「浅香山つつじまつり」として、2500本のつつじの通りぬけをしています。