別所やそじ先生や、尼見清市先生の「むかしの堺」が、単行本として発行されたのが昭和51(1976)年のことです。それから、43年がたち、堺の子ともたちが堺の昔のすがたを知る機会が減ってしまいました。各学校の図書館にはまだ「むかしの堺」「続むかしの堺」がおかれているところもあるでしょうが、先生方も若くなって、堺の昔を知らなくなっている現状もあるかと思います。
たまたま私の趣味が「堺の歴史について」であり「堺市内のウォーキング」だったものですので、ウォーキングしながら新たに堺の歴史にかかわるものに出会うことも多くなりました。今まで自分は知っていると思っていた堺のことも、知らないことがあまりに多く、歩くたびに常に新たな出会いがありました。
せっかくなのでこの私の二つの趣味を一つにして、できれば堺市内の子どもたちにも堺の昔にも関心をもってもらえればと思って、まとめた次第です。まとめながら拙著「私と堺検定」で書いたこととかなり重なることにちょっと心も痛めましたが、これが私の限界と自覚して、開き直ることにしました。
私の知らないことを書く際に、寺社の由緒書(※1)などをもとにしていきましたので、こなれない文章になったかもしれないかもしれませんが、お許しください。
(※1)
物事の由来,とくに家,職人の職能などの起源,由来,系譜などを記したもの。とりわけ家の来歴や系譜,親族などを記した書類は重要で,由緒,履歴,家系,系譜などさまざまな呼称と共通の場合もある。皇室,公家,武家,庶民とあらゆる階層で,自己の家系や履歴,親族関係を記録して備忘に供したり,官職に就くなど人事上の手続に際して作成・提出されて証拠とされた。江戸時代以降広く行われ,とりわけ武家では君臣関係を示す根拠として全家臣のそれを集めたものが,由緒書もしくは類似の書名を付して保存された。
(世界大百科事典 第2版の解説)