阪和線津久野駅を北側に出ましょう。少し上がったところに写真の立派な橋があります。でも、何か変ですねぇ。そう、橋なのに川が流れていません。どうしてでしょう。
かつてはこの橋の下を石津川が流れていました。その頃の石津川は、大雨がふるとよく洪水をおこすあばれ川でした。洪水をおこすたびに、石津川にかかっていた橋が流されて困っていました。
そこで、地域の人たちは、「万年までも永く流されない橋をつくろう」との思いから、昭和五年(1930)に鉄筋コンクリート製の橋を造ったのです。そしてその橋を「万年橋」と名付けました。
橋は流されなくなりましたが、石津川の洪水はおさまりません。大雨が降るたびに速い川の流れで川のかべが削られて、川の流れがどんどんまがっていったのです。これを「蛇行」といいます。川が蛇行すればするほど洪水がおきやすくなります。
昭和三十年(1955)ごろ、この蛇行をなくして洪水がおきにくくするために、石津川の流れを替える工事を行いました。蛇行していたところが、よりまっすぐに近い流れに替わったのです。その結果、今まで川が流れていたところの川がなくなり、洪水はおきなくなりました。そして、万年橋の下の川もなくなってしまい、橋だけが残されたのです。
今まで川があったところは、「三日月湖」として残っていましたが、今ではほとんどが住宅地などになってしまい、その姿を見ることができなくなりました。津久野駅付近の石津川のすぐ西に、左の写真のようなカーブした道が見えていますね。これが三日月湖の跡で、今では遊歩道や公園として残されています。