105 まんねんばしと石津川

万年橋

 阪和はんわせん津久野駅つくのえきを北側に出ましょう。少し上がったところに写真の立派りっぱな橋があります。でも、何か変ですねぇ。そう、橋なのに川が流れていません。どうしてでしょう。

 かつてはこの橋の下を石津川が流れていました。そのころの石津川は、大雨がふるとよく洪水こうずいをおこすあばれ川でした。洪水をおこすたびに、石津川にかかっていた橋が流されてこまっていました。

1930_工事中の万年橋

 そこで、地域の人たちは、「万年までも永く流されない橋をつくろう」との思いから、昭和五年(1930)に鉄筋てっきんコンクリートせいの橋を造ったのです。そしてその橋を「万年橋」と名付けました。

 橋は流されなくなりましたが、石津川の洪水はおさまりません。大雨がるたびにはやい川の流れで川のかべがけずられて、川の流れがどんどんまがっていったのです。これを「蛇行だこう」といいます。川が蛇行すればするほど洪水がおきやすくなります。

 昭和三十年(1955)ごろ、この蛇行をなくして洪水がおきにくくするために、石津川の流れをえる工事を行いました。蛇行していたところが、よりまっすぐに近い流れに替わったのです。その結果、今まで川が流れていたところの川がなくなり、洪水はおきなくなりました。そして、万年橋の下の川もなくなってしまい、橋だけが残されたのです。 

三日月湖跡

 今まで川があったところは、「三日月湖」として残っていましたが、今ではほとんどが住宅地などになってしまい、その姿を見ることができなくなりました。津久野駅付近の石津川のすぐ西に、左の写真のようなカーブした道が見えていますね。これが三日月湖のあとで、今では遊歩ゆうほどうや公園として残されています。

 

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