第8回 新刊算法起を読む:7
では、早速、前回の田に張った水の深さを求めましょう。まずは、問題文の現代語訳から

① は、田1反に35坪の水を張るのですが、「深さは何寸になるか」を問うているので、単位を寸に換算するために、65をかけます。
35×65=2275
これを田の法3で割れば、
2275÷300=7.5833
≒7.58
=7寸5分8厘
② です。田1反に7寸五分8厘の深さの水を張る場合の 水の嵩を問題にしています。これも同様で、単位の換算をします。そのため65で割りますと、坪の単位がでます。
7.58÷65=0.116615・・・
≒0.1166
(上の問題文では、65で割ると4927になっています。これは、75.8に65を掛けた場合の答えなので、問題文の「65にてわれば」とは合っていません。)
この0.1166に田の法300をかけます。
0.1166×300=34.98
≒35(坪)
最後の③です。.これは池の水を田に張る場合の計算の一般化をはかっている部分です。
・池の水、田何十町の水かを問う時も、1反の水何十坪かを決めて、水坪を割れば分かります。
・他の水積を何寸かを決めて、水を入れる場合も同じで、池の水では、どれだけの田に水を入れ
られるかを問うこともあり、この池に、2へん3べんと何回も水が入ります。
・行基は、検地だけでなく、池までことごとく問題にし て決まり事をつくっていかれた仏様で
す。
とまとめています。
では、次の問題です。
この場合の「土1坪」は、1辺が1間の立方体の土の量を表します。「坪」ですが面積ではなく体積になります。
1日に土1坪を1人で運ぶと仮定すると、36町は1里なので
1人で1日に歩くとしたときの距離=36町×7里
=252町
1回土を取りに行くと、土の取り場までを往復するので
6町×2=12町
1人で土1坪を運ぶ場合、252町をこの12町で割り何往復するかを出します。
252÷12=21(往復)
1回運ぶのを1荷とするので、つまり21荷となります。
また、土1坪は1辺1間の立方体(六面体)なので、間を尺に換算すると体積は、
一辺×一辺×一辺ですので、
6.5×6.5×6.5
=274.625(尺3)
≒275尺3
これが土1坪の、尺に換算した時の土の量です。言い換えれば、1辺が1尺の立方体が275個あるということです。
別に、1辺が1尺の立方体(六面体)の土の重さは11貫目(11000匁)とあり、米1升=370匁なので、
11000÷370=29.729729・・・
≒29升7合 ≒30升 =3斗
これが、1辺が1尺の立方体(1尺3)の体積(量)です。
風袋を5升とすると、3斗の土を風袋に入れるので、
3斗+5升=3斗5升・・・これが1荷の重さ
土1坪で275荷の土だったので、21荷で割ります。
275÷21=13.0952・・・
≒13.1(人)
別解
土1坪=1人1往復時の土の量×21×X(人)
1日に土1坪を1人で運ぶと仮定すると、
1人で1日に歩くとしたときの距離=36町×7里
=252町
往復すると、
252÷(6町×2)=21往復
単位を匁に換算します。
土1升=11貫=1000匁×11
=11000匁
米1升=370匁
1荷の土の量をX升とすると、
1升:370匁=X:11000匁
X=11000÷370
=29.7297・・・
≒30升(1荷の土の量)
土1坪=1間3=(6.5尺)3
=275尺3
土1坪=275尺3=30×275=8250升
1人1日に運ぶ土の量=30×21=630升
8250=630×X
X=8250÷630
=13.0523・・・
≒13.1(人)
まず、「上口」「ね口注8-1」という単語が出てきます。上口とは台形でいう上底にあたります。また、ね口は下底にあたります。すると、上の問題文で問うている塀の形は、左のような図になります。
さて、「土15坪」は、平面だけではなく、このように土の体積を表す場合にも使います。坪ですから、1辺が1間の立方体の土と考えると分かりやすいです。現代でいえば、1.8m×1.8×1.8m=5.832m3ということになります。間を尺に換算して立式をすると、1間=6.5尺ですので
(6.5尺)3=274.625尺3
≒275尺3
土が15坪なので、15倍しておきましょう。
275×15=4125(尺3)
では、塀です。
上口とね口とを合わせると4尺あるので、
1尺8寸+2尺2寸=4尺
ですね。これを2で割るのは、(上口+ね口)÷2、つまり、塀の断面の台形を長方形と見立てた(図の赤線)時の横の長さを求めています。
次に、これに高さの6尺を掛けるのですから、まさに断面積を出しています。
4尺÷2=2尺
2尺×6尺=12尺2・・・断面積
この場合でも原文では「坪12」とありますが、この坪は、平面の坪です。
土の量15坪を断面積で割れば、塀の長さが出るわけです。
4125÷12=343.75(間)
0.75に65を掛けるのは、間未満の長さを尺の単位に換算するためです。
0.75×65=4.875(尺)
これに元の343間を合わせて、
343間+4.875尺=343間4尺8寸7分5厘
と、これが求める塀の長さになります。
「第十三 普請遠近割」の問題は、もう1問書かれています。それが次のページです。
今までの問題を解いてこられた方には、これは案外易しいかもしれません。下のような図の屋敷の塀の厚さを問うています。
解法は次回に。
注8-1:ね口
前回では「ね置」という言葉で書かれていましたが、前回と同様に、台形の下底にあたります。「根置」と書き、木の根があるところ、つまり土台部分のことです。
原書文








